はじめに:なぜ社労士試験に挑戦したのか
2024年8月、社会保険労務士試験に一発合格しました。合格率6.4%という難関試験を、フルタイムで働きながら突破できたのは、正しい戦略と継続的な努力のおかげです。
私が社労士を目指した理由は、人事・労務の専門性を高め、企業の人事戦略に深く関わりたいと考えたからです。また、将来的に独立開業やコンサルティング業務も視野に入れていました。
この記事では、私が実際に行った800時間の勉強法、科目別の攻略ポイント、使用したテキスト、そしてモチベーション維持の方法を詳しく解説します。
🎯 この記事で分かること
- 社労士試験の全体像と合格に必要な勉強時間
- 10ヶ月間の具体的な学習スケジュール
- 科目別の攻略法と頻出論点
- おすすめのテキスト・問題集・模試
- 働きながら勉強時間を確保する方法
- モチベーション維持の秘訣
社労士試験の全体像:難易度と合格率
社会保険労務士試験は、年1回(8月の第4日曜日)のみ実施される国家資格試験です。
試験の基本データ(2024年度)
- 受験者数:42,741人
- 合格者数:2,720人
- 合格率:6.4%
- 合格基準:選択式40点満点中28点以上、択一式70点満点中49点以上(各科目で足切りあり)
試験科目(全10科目)
- 労働基準法及び労働安全衛生法
- 労働者災害補償保険法
- 雇用保険法
- 労務管理その他の労働に関する一般常識
- 社会保険に関する一般常識
- 健康保険法
- 厚生年金保険法
- 国民年金法
10ヶ月間の学習スケジュール:合計800時間
私は2023年11月から学習をスタートし、2024年8月の本試験まで約10ヶ月間で合計800時間を投入しました。
📅 月別学習計画
| 時期 | 学習内容 | 月間時間 |
|---|---|---|
| 11月〜12月 | 基礎インプット(労基法、安衛法、労災法) | 60時間×2ヶ月 |
| 1月〜2月 | 基礎インプット(雇用保険、健保、厚年、国年) | 70時間×2ヶ月 |
| 3月 | 一般常識(労一、社一)+ 全科目1周目復習 | 80時間 |
| 4月 | 過去問演習(択一式)1周目 | 80時間 |
| 5月 | 過去問演習(択一式)2周目 + 選択式対策 | 90時間 |
| 6月 | 模試受験(2回)+ 弱点補強 | 100時間 |
| 7月 | 直前期総復習 + 横断整理 | 110時間 |
| 8月 | 最終確認 + 本試験 | 90時間 |
合計:800時間
科目別攻略法:優先順位をつけて効率化
社労士試験は科目数が多いため、「すべてを完璧にする」のは現実的ではありません。優先順位をつけて、得点しやすい科目から確実に押さえることが重要です。
優先度A:絶対に落とせない主要科目
この3科目で全体の約50%の得点を稼げます。
- 厚生年金保険法:択一式10問。計算問題が多く、理解すれば得点源に
- 国民年金法:択一式10問。厚年との横断整理が重要
- 健康保険法:択一式10問。実務に直結する内容で覚えやすい
🔑 年金科目攻略のポイント
年金は「老齢」「障害」「遺族」の3つの給付体系を図解して整理することが重要です。私はA3用紙に体系図を書いて壁に貼り、毎日眺めていました。
- 老齢基礎年金の計算式(保険料納付済期間×満額÷480)
- 障害年金の支給要件(初診日要件、保険料納付要件、障害認定日要件)
- 遺族年金の優先順位(配偶者 → 子 → 父母 → ...)
優先度B:実務でもよく使う重要科目
- 労働基準法:択一式7問。労働時間、賃金、解雇などの頻出論点を押さえる
- 雇用保険法:択一式7問。失業給付の計算が頻出
- 労災保険法:択一式7問。業務災害・通勤災害の認定基準が重要
優先度C:範囲が広く対策が難しい科目
- 労働一般常識:労働経済、労働組合法、育児介護休業法など範囲が膨大
- 社会保険一般常識:国民健康保険、介護保険、高齢者医療など
使用教材:厳選した3つのテキスト
教材選びは合否を左右する重要な要素です。私が実際に使った教材を紹介します。
1. 基本テキスト:TAC「みんなが欲しかった!社労士の教科書」
フルカラーで図解が豊富。初学者でも理解しやすい構成です。私はこのテキストを3周しました。
- 1周目:全体像を掴むために通読(理解度30%でOK)
- 2周目:過去問と照らし合わせながら精読(理解度60%目標)
- 3周目:直前期に苦手論点だけ復習(理解度80%以上)
2. 過去問集:TAC「みんなが欲しかった!社労士の過去問題集」
過去10年分の問題を科目別に収録。解説が詳しく、関連条文も掲載されているので復習しやすいです。
過去問は最低3周することをおすすめします。1周目は正答率30%でも気にせず、2周目で50%、3周目で80%を目指しましょう。
3. 模試:大原・TAC・LEC の3社を受験
6月と7月に計3回の模試を受験しました。模試の目的は「実力測定」ではなく「本番のシミュレーション」と「出題予想の把握」です。
モチベーション維持の方法:10ヶ月間走り続けるために
長期間の学習で最も難しいのは「継続すること」です。私が実践したモチベーション維持の方法を紹介します。
1. 学習記録アプリで可視化
Studyplusというアプリで毎日の学習時間を記録しました。「今週すでに20時間勉強した」という事実が、継続の原動力になります。
2. SNSで仲間を作る
Twitterで「#社労士受験」のタグで発信し、同じ目標を持つ仲間と繋がりました。孤独な戦いではなくなり、情報交換もできます。
3. 小さな目標を設定
「10ヶ月後に合格」という大きな目標だけでなく、「今週は労基法を50問解く」といった小さな目標を設定しました。達成感を頻繁に味わえます。
4. 息抜きの時間も確保
日曜日の午後は完全にオフにして、趣味のプログラミングや散歩をしていました。メリハリをつけることで、平日の集中力が高まります。
本試験当日:準備と心構え
試験当日は、午前に選択式(80分)、午後に択一式(210分)という長丁場です。
持ち物チェックリスト
- 受験票(絶対に忘れない!)
- HBの鉛筆(5本)、消しゴム(2個)
- 腕時計(スマホは使用不可)
- 昼食(近くにコンビニがない会場もある)
- 羽織るもの(冷房対策)
- 弱点ノート(直前に見直す用)
試験中の時間配分
択一式は210分で70問(1問3分)ですが、私は以下の配分で解きました。
- 1周目(120分):全問を解く(分からない問題は△マークをつけて飛ばす)
- 2周目(60分):△問題を再考
- 3周目(30分):全問見直し+マークミスチェック
合格後のキャリアと現在
社労士試験合格後、私は以下のようなキャリアを歩みました。
- 社内で人事制度改革プロジェクトのリーダーに抜擢
- 給与計算の自動化システムを開発(Pythonで実装)
- 副業で中小企業の就業規則作成コンサルティングを開始
- 最終的にエンジニアへキャリアチェンジ(現在に至る)
社労士の知識は、人事システム開発やHRテックの分野で非常に役立っています。法律知識×IT技術という希少なスキルセットを持てたことで、キャリアの選択肢が大きく広がりました。
まとめ:合格への5つのポイント
🎓 社労士試験合格の秘訣
- 年金3科目を最優先で攻略:厚年・国年・健保で全体の40%を稼ぐ
- 過去問を最低3周:理解度80%を目指す
- 一般常識は深追いしない:過去問と白書統計に絞る
- 模試で本番のシミュレーション:時間配分とメンタルコントロールを練習
- 継続できる仕組みを作る:学習記録、SNS、小目標設定
社労士試験は決して簡単な試験ではありませんが、正しい方法で継続すれば、働きながらでも合格できます。この記事が、これから挑戦する皆さんの一助となれば幸いです。
応援しています!頑張ってください!