プロフィール:人事畑12年の文系人間
はじめまして。MechaToraを運営している者です。私のバックグラウンドは、一般的な「エンジニア」のイメージとはかけ離れています。
- 学歴:文系学部卒業(法学・経済系)
- 職歴:人事・労務部門で12年勤務
- 保有資格:社会保険労務士、第一種衛生管理者、簿記2級
- プログラミング経験:独学で少しかじった程度(HTML/CSSをいじる程度)
「なぜそんな人がWebアプリを15個も開発できているのか?」と疑問に思うかもしれません。この記事では、その経緯と、キャリアチェンジの過程で学んだことをお話しします。
1. プログラミングを学び始めたきっかけ
人事業務の「非効率」に気づいた
人事の仕事をしていると、膨大な Excel ファイルと格闘する日々でした。勤怠管理、給与計算、社会保険手続き...どれも手作業が多く、「これ、自動化できないかな?」と思うことが頻繁にありました。
特に、社会保険の制度変更が年に何度もあり、最新情報を追いかけるだけで一苦労。「厚生労働省や年金機構のサイトを自動でチェックして、変更があったら通知してくれるツールがあればいいのに」と思ったのが、プログラミングに興味を持った最初のきっかけです。
最初の一歩:Pythonでのデータ処理
まず手を付けたのが、Python による Excel 自動化でした。`openpyxl` というライブラリを使って、給与計算の一部を自動化することに成功。これが、プログラミングの面白さに気づいた瞬間でした。
勤怠データ(CSV)を読み込み、残業時間を集計して Excel に出力するスクリプト。わずか50行程度のコードでしたが、毎月2時間かかっていた作業が5分で終わるようになりました。
2. Web開発への転換
「ツールを公開したい」という思い
Excelの自動化に成功したものの、それは自分のPC でしか動きません。「同じ悩みを持つ人事担当者は多いはず。これをWebアプリとして公開できれば、多くの人の役に立つのでは?」と考えました。
しかし、Web開発は全くの未経験。HTMLとCSSは少し知っていましたが、JavaScript、API、データベース...知らない用語だらけでした。
転機:AI支援開発ツールとの出会い
2024年頃、Claude Code という AI 支援開発ツールの存在を知りました。「AIに指示を出すだけでコードが書ける」という触れ込みに半信半疑でしたが、試してみると驚くほど簡単にWebアプリが作れました。
最初に作ったのは、「料理提案アプリ(CookSuggest)」。冷蔵庫の食材からレシピを提案する簡単なツールでしたが、これが人生初の「公開Webアプリ」でした。
3. キャリアチェンジのタイムライン
プログラミング学習開始:Python の基礎を独学。Udemyの講座を受講し、Excel 自動化スクリプトを作成。
Web開発に挑戦:HTML/CSS/JavaScriptを学び始める。最初は簡単な静的ページを作成。
Claude Code導入:AI支援開発ツールを使い始め、開発速度が劇的に向上。料理提案アプリを公開。
本格的に開発開始:地震モニター、資格試験カレンダー、社会保険ニュース収集など、次々にアプリを開発・公開。
独自ドメイン取得:mechatora.com を取得し、本格的にサイト運営を開始。R言語学習サイトなど、教育コンテンツにも注力。
4. 人事経験がプログラミングに活きた3つのこと
「文系人事職の経験なんて、プログラミングに役立たない」と思っていましたが、実際には多くの共通点がありました。
その1:要件定義能力
人事の仕事では、「新しい人事制度を設計する」「評価制度を見直す」など、複雑な要件を整理するスキルが求められます。これは、プログラミングの「要件定義」そのものでした。
「何を作るか」を明確にする能力は、コーディングスキル以上に重要です。
その2:フロー設計思考
給与計算や社会保険手続きは、複雑なフローチャートで管理していました。「Aの場合はBへ、そうでなければCへ」という条件分岐の考え方は、プログラミングの if 文そのものです。
その3:ユーザー視点
人事の仕事は、社員(ユーザー)のニーズを汲み取り、使いやすい仕組みを作ることです。この「ユーザーファースト」の思考は、UI/UX設計に直結しました。
プログラミングは「技術」だけではありません。「問題解決」「論理的思考」「ユーザー理解」といったソフトスキルが非常に重要です。これらは、どんな職種でも培えるスキルです。
5. キャリアチェンジで学んだこと
学び1:完璧主義を捨てる
最初は「バグのない完璧なコードを書かなければ」と思っていました。しかし、それでは永遠に公開できません。
「80点で公開し、フィードバックを得ながら改善する」スタイルに切り替えたことで、開発速度が大幅に上がりました。
学び2:専門性の掛け算
「人事の専門知識」×「プログラミングスキル」という組み合わせは、思った以上に希少価値がありました。
例えば、「社会保険ニュース収集アプリ」は、社会保険労務士の知識がなければ、どの情報が重要かを判断できませんでした。専門性の掛け算が、独自性を生みます。
学び3:年齢は関係ない
30代半ばでプログラミングを本格的に始めましたが、「遅すぎる」と感じたことは一度もありません。むしろ、社会人経験があるからこそ、「誰のために、何を作るか」が明確でした。
6. これからキャリアチェンジを考える人へ
アドバイス1:小さく始める
いきなり仕事を辞めてスクールに通う必要はありません。週末の数時間、オンライン学習から始めれば十分です。
アドバイス2:自分の専門性を活かす
「ゼロからエンジニアになる」のではなく、「今の専門性 × 技術」で新しい価値を作る発想を持ちましょう。
アドバイス3:AIツールを活用する
Claude Code のような AI 支援ツールを使えば、技術的なハードルは大幅に下がります。「作りたいもの」さえあれば、誰でも開発者になれる時代です。
まとめ
文系人事職からWeb開発者への転身は、決して特別なことではありません。重要なのは、「何を作りたいか」「誰のために作るか」というビジョンです。
技術は後からついてきます。あなたの専門性と組み合わせれば、唯一無二の価値を生み出せます。
もし、「自分も何か作ってみたい」と思ったなら、まずは小さな一歩を踏み出してみてください。その一歩が、新しいキャリアの始まりかもしれません。