1. R言語とは?なぜ学ぶべきか
R言語は、統計解析とデータ可視化に特化したプログラミング言語です。1990年代に開発されて以来、学術研究や企業のデータ分析の現場で広く使われています。
R言語を学ぶメリット
- 統計分析に最適:統計学的な手法が標準で組み込まれており、複雑な分析も簡単に実行できます
- 美しいグラフ作成:ggplot2などのパッケージで、論文やプレゼンに使える高品質なグラフを作成できます
- 無料でオープンソース:ライセンス費用がかからず、誰でも自由に使えます
- 豊富なパッケージ:20,000以上のパッケージが公開されており、ほぼあらゆる分析に対応できます
- 再現性の高い分析:コードとして記録されるため、同じ分析を何度でも再現できます
- 活発なコミュニティ:世界中に多くのユーザーがおり、困った時に情報を見つけやすい
PythonとR言語の比較
データ分析を始める際、「PythonとRのどちらを学ぶべきか」という疑問がよく出ます。以下の表を参考にしてください。
| 項目 | R言語 | Python |
|---|---|---|
| 得意分野 | 統計解析、データ可視化、学術研究 | 機械学習、Web開発、汎用プログラミング |
| 学習の難易度 | 統計に焦点。プログラミング初心者でも始めやすい | 汎用言語のため、やや広範囲の知識が必要 |
| グラフ作成 | ggplot2で美しいグラフを簡単に作成 | matplotlib、seabornなど複数のライブラリあり |
| 統計分析 | 標準で強力な統計機能を搭載 | statsmodels、scipyなどのライブラリが必要 |
| 業界での利用 | 製薬、医療、学術、金融、マーケティング | IT、AI、Webサービス、製造業 |
💡 どちらを選ぶべき?
R言語がおすすめの人:統計学を学んでいる、論文でデータ分析をする、ビジネスデータの可視化をしたい
Pythonがおすすめの人:機械学習・AIに興味がある、Webアプリを作りたい、汎用的なプログラミングスキルが欲しい
※ 両方学ぶのもおすすめです。基礎を一方で学べば、もう一方の習得も早くなります。
2. R言語のインストール方法
R言語を使い始めるには、以下の2つをインストールします。
ステップ1:R本体のインストール
- CRAN(R公式サイト)にアクセス
- お使いのOS(Windows、Mac、Linux)を選択
- 最新版のRをダウンロードしてインストール
ステップ2:RStudioのインストール
RStudioは、R言語をより快適に使うための統合開発環境(IDE)です。Rの基本機能に加え、コード補完、グラフ表示、プロジェクト管理などの便利な機能が使えます。
- RStudio公式サイトにアクセス
- 無料版の「RStudio Desktop」をダウンロード
- インストーラーを実行してインストール
✅ インストール完了の確認
RStudioを起動し、コンソール(左下の画面)に以下を入力してEnterキーを押してください:
「Hello, R!」と表示されれば成功です!
3. Tidyverseとは?
Tidyverse(タイディバース)は、データ分析を効率化するRパッケージ群の総称です。Hadley Wickham氏を中心に開発され、現代のR言語によるデータ分析のスタンダードとなっています。
Tidyverseに含まれる主要パッケージ
- dplyr:データの絞り込み、並び替え、集計などの操作
- ggplot2:美しいグラフの作成
- tidyr:データの整形(縦長↔横長の変換など)
- readr:CSVファイルなどのデータ読み込み
- purrr:関数型プログラミング(繰り返し処理の効率化)
- stringr:文字列の操作
- forcats:カテゴリカルデータの操作
- lubridate:日付・時刻データの操作
Tidyverseのインストール
RStudioのコンソールで以下のコマンドを実行します:
インストールには数分かかります。完了後、以下のコマンドで読み込みます:
初回インストール時に「依存パッケージをインストールしますか?」と聞かれることがあります。「Yes」または「All」を選択してください。
4. 最初の一歩:簡単なデータ分析
Tidyverseには、練習用のサンプルデータが含まれています。有名な「iris(アヤメ)データセット」を使って、基本的な操作を試してみましょう。
データの確認
基本的な集計
グラフの作成
💡 パイプ演算子 %>% について
Tidyverseでは、%>%(パイプ演算子)を使って処理を連結します。「データをフィルターして、並び替えて、集計する」といった一連の流れを読みやすく書けます。
5. 学習ロードマップ
推奨学習ステップ
基礎構文の理解(1〜2週間)
変数、ベクトル、データフレームなどの基本概念を学びます。第1章から始めましょう。
dplyrでデータ操作(2〜3週間)
filter、select、mutate、summariseなどの基本関数を習得。第2章を学習します。
ggplot2でグラフ作成(2〜3週間)
棒グラフ、折れ線グラフ、散布図などの基本的なグラフを作成。第3章で実践します。
実践プロジェクト(継続的に)
自分の興味のあるデータで分析プロジェクトに挑戦。第24章で実践例を紹介しています。
6. 学習を続けるコツ
毎日少しずつ練習
1日15〜30分でも良いので、毎日コードを書く習慣をつけましょう。週末にまとめて勉強するより、毎日少しずつ続ける方が定着します。
自分のデータで練習
教科書のサンプルデータだけでなく、自分の興味のあるデータ(例:家計簿、読書記録、運動記録など)で分析すると、モチベーションが続きます。
エラーを恐れない
エラーメッセージは学習の一部です。エラーが出たら、メッセージをよく読み、Google検索してみましょう。同じエラーで困っている人は世界中にいます。
コミュニティに参加
Twitter(X)のハッシュタグ「#rstatsj」で日本語のR言語コミュニティと繋がれます。質問や情報交換が活発に行われています。
🎓 次のステップ
この初心者ガイドを読み終えたら、第1章:Tidyverseの概要から本格的な学習を始めましょう。全24章で、基礎から実践まで体系的に学べます。