📊 R言語・Tidyverse初心者ガイド

ゼロから始めるデータ分析の世界

1. R言語とは?なぜ学ぶべきか

R言語は、統計解析とデータ可視化に特化したプログラミング言語です。1990年代に開発されて以来、学術研究や企業のデータ分析の現場で広く使われています。

R言語を学ぶメリット

PythonとR言語の比較

データ分析を始める際、「PythonとRのどちらを学ぶべきか」という疑問がよく出ます。以下の表を参考にしてください。

項目 R言語 Python
得意分野 統計解析、データ可視化、学術研究 機械学習、Web開発、汎用プログラミング
学習の難易度 統計に焦点。プログラミング初心者でも始めやすい 汎用言語のため、やや広範囲の知識が必要
グラフ作成 ggplot2で美しいグラフを簡単に作成 matplotlib、seabornなど複数のライブラリあり
統計分析 標準で強力な統計機能を搭載 statsmodels、scipyなどのライブラリが必要
業界での利用 製薬、医療、学術、金融、マーケティング IT、AI、Webサービス、製造業

💡 どちらを選ぶべき?

R言語がおすすめの人:統計学を学んでいる、論文でデータ分析をする、ビジネスデータの可視化をしたい

Pythonがおすすめの人:機械学習・AIに興味がある、Webアプリを作りたい、汎用的なプログラミングスキルが欲しい

※ 両方学ぶのもおすすめです。基礎を一方で学べば、もう一方の習得も早くなります。

2. R言語のインストール方法

R言語を使い始めるには、以下の2つをインストールします。

ステップ1:R本体のインストール

  1. CRAN(R公式サイト)にアクセス
  2. お使いのOS(Windows、Mac、Linux)を選択
  3. 最新版のRをダウンロードしてインストール

ステップ2:RStudioのインストール

RStudioは、R言語をより快適に使うための統合開発環境(IDE)です。Rの基本機能に加え、コード補完、グラフ表示、プロジェクト管理などの便利な機能が使えます。

  1. RStudio公式サイトにアクセス
  2. 無料版の「RStudio Desktop」をダウンロード
  3. インストーラーを実行してインストール

✅ インストール完了の確認

RStudioを起動し、コンソール(左下の画面)に以下を入力してEnterキーを押してください:

print("Hello, R!")

「Hello, R!」と表示されれば成功です!

3. Tidyverseとは?

Tidyverse(タイディバース)は、データ分析を効率化するRパッケージ群の総称です。Hadley Wickham氏を中心に開発され、現代のR言語によるデータ分析のスタンダードとなっています。

Tidyverseに含まれる主要パッケージ

Tidyverseのインストール

RStudioのコンソールで以下のコマンドを実行します:

install.packages("tidyverse")

インストールには数分かかります。完了後、以下のコマンドで読み込みます:

library(tidyverse)
⚠️ インストール時の注意

初回インストール時に「依存パッケージをインストールしますか?」と聞かれることがあります。「Yes」または「All」を選択してください。

4. 最初の一歩:簡単なデータ分析

Tidyverseには、練習用のサンプルデータが含まれています。有名な「iris(アヤメ)データセット」を使って、基本的な操作を試してみましょう。

データの確認

# ライブラリの読み込み library(tidyverse) # データの最初の6行を表示 head(iris) # データの構造を確認 str(iris)

基本的な集計

# 種類(Species)ごとの平均を計算 iris %>% group_by(Species) %>% summarise( 平均がく片長 = mean(Sepal.Length), 平均花びら長 = mean(Petal.Length) )

グラフの作成

# 散布図を作成 ggplot(iris, aes(x = Sepal.Length, y = Petal.Length, color = Species)) + geom_point() + labs(title = "アヤメのがく片と花びらの長さ", x = "がく片の長さ (cm)", y = "花びらの長さ (cm)")

💡 パイプ演算子 %>% について

Tidyverseでは、%>%(パイプ演算子)を使って処理を連結します。「データをフィルターして、並び替えて、集計する」といった一連の流れを読みやすく書けます。

5. 学習ロードマップ

推奨学習ステップ

1

基礎構文の理解(1〜2週間)

変数、ベクトル、データフレームなどの基本概念を学びます。第1章から始めましょう。

2

dplyrでデータ操作(2〜3週間)

filter、select、mutate、summariseなどの基本関数を習得。第2章を学習します。

3

ggplot2でグラフ作成(2〜3週間)

棒グラフ、折れ線グラフ、散布図などの基本的なグラフを作成。第3章で実践します。

4

データの整形と読み込み(1〜2週間)

tidyrでデータを整え、readrで外部ファイルを読み込む方法を学びます。第4章第8章

5

実践プロジェクト(継続的に)

自分の興味のあるデータで分析プロジェクトに挑戦。第24章で実践例を紹介しています。

6. 学習を続けるコツ

毎日少しずつ練習

1日15〜30分でも良いので、毎日コードを書く習慣をつけましょう。週末にまとめて勉強するより、毎日少しずつ続ける方が定着します。

自分のデータで練習

教科書のサンプルデータだけでなく、自分の興味のあるデータ(例:家計簿、読書記録、運動記録など)で分析すると、モチベーションが続きます。

エラーを恐れない

エラーメッセージは学習の一部です。エラーが出たら、メッセージをよく読み、Google検索してみましょう。同じエラーで困っている人は世界中にいます。

コミュニティに参加

Twitter(X)のハッシュタグ「#rstatsj」で日本語のR言語コミュニティと繋がれます。質問や情報交換が活発に行われています。

📚 学習を始める 第1章へ進む →

🎓 次のステップ

この初心者ガイドを読み終えたら、第1章:Tidyverseの概要から本格的な学習を始めましょう。全24章で、基礎から実践まで体系的に学べます。